今日はお薬の影響の話。
骨粗鬆症患者や骨折予防に処方されることが多い薬
「ビスホスホネート(BP)製剤」
BP製剤は破骨細胞(骨を壊す細胞)の活動を阻害し骨の吸収を防ぐ薬剤です。
中高年の女性の方は意外と処方されて飲んでる方が多いです。
そんなBP製剤ですが、歯科治療をするときには注意が必要になります
BP製剤服薬中の患者さんに侵襲的歯科治療(外科処置など)を行うと、顎骨壊死がおこる場合があります
抜歯したところが治癒せず、周囲の骨が腐っていくのです・・・。
これを「ビスホスホネート系製剤関連顎骨壊死(Bisphosphonate Related Osteonecrosis of the Jaw)」
略して「BRONJ」
経口薬では発症頻度は1%以下となっていますが、BP製剤の注意事項にはちゃんと「歯科治療の際には歯科医師に伝えてください。」と書いてあります。
本日も抜歯が必要な患者さんですがBP製剤を飲んでるとのことで、抜歯延期し主治医の先生に相談することにしました。
患者さんも骨粗鬆症の薬を簡単に考えている方が多く、問診時に申告していない方もいたりします
私が北海道で勤務医をしている時にBP製剤服薬中の患者さんの抜歯の可否について大学病院の整形外科の先生と電話で話をしたことがあります。
「(当時は)整形外科学会ではBP製剤と顎骨壊死の因果関係はない。歯科のインフェクションコントロール(感染対策)が原因じゃないですか?」と言われたことがあります
まあ、BRONJも今では細菌感染に起因する顎骨壊死とういう概念になってきていますが、薬剤の影響もあって重症化しやすいと報告がされている以上、服薬中の患者さんの治療では注意する必要があります。